人口減少が続くなか、「移住してもらう」だけでなく、地域と継続的に関わる人(関係人口)を増やす取り組みが、各地の自治体で相次いでいます。
那須塩原市×JR東日本、「関係人口」で連携
栃木県那須塩原市とJR東日本栃木事業本部は、2026年7月30日、関係人口の創出を目的とする包括連携協定を締結しました(有効期間は2029年3月31日まで)。取り組みの柱は、「那須塩原市に行きたくなる」(地域プロモーションなど)、「那須塩原市と関わりたくなる」(二地域居住・移住定住の促進など)、「那須塩原市に住みたくなる」(DXによる生活利便性の向上など)の3つです。あわせて、関係人口創出プロジェクト「行き先は、わたし」も始動しました。
那須塩原市は「好きを、編む。」というパーパスを掲げてまちづくりを進め、8年連続の転入超過を実現しています。今回の協定は、JR東日本の鉄道ネットワークやデジタル技術を掛け合わせ、地域と継続的にかかわる関係人口の創出を目指すものです。
背景にある「移住促進だけでは限界」という認識
こうした動きの背景には、国の政策の流れがあります。総務省は平成30年度から「関係人口創出・拡大事業」で自治体を財政的に後押ししてきました。移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者である「関係人口」——まずは地域と関わる人を増やす、という取り組みです。
関わりの“入口”を広げる取り組みも各地で進んでいます。たとえば兵庫県は、大学生を中心とした若者が淡路島・洲本市に滞在し、地域住民との交流や空き家改修体験などを通じて地域との新しい関わり方を考える合宿型プログラム「島留学in洲本2026」(2026年9月19〜21日)の参加者を募集しました。
「関係人口」は移住・定着と地続き
関係人口は、移住の“手前”にある接点づくりです。そのうえで、地域と関わり始めた人が実際に移住し、そして定着するまでを見据えることで、取り組みは成果につながっていきます。「関わる人を増やす」取り組みと、「移住した人を定着させる」取り組みは、同じ“継続的な関わり”という一本の線でつながっています。
関わりを定着まで一体で設計している例は、那須塩原市に限りません。香川県三豊市は航空会社と組んだ二地域居住を関係人口づくりの入口としており、徳島県神山町はサテライトオフィスの誘致など「仕事」という接点から関わりを育ててきました。自治体が外部(企業・県・専門パートナー)と組んで、関わりの入口から定着まで一貫して設計する——そんな動きが、これから広がっていきそうです。
- JR東日本「那須塩原市とJR東日本栃木事業本部が関係人口の創出を目的とする包括連携協定を締結します」(2026年7月23日) https://www.jreast.co.jp/press/2026/tochigi_j/20260723_t01.pdf
- 総務省「関係人口」ポータルサイト/関係人口創出・拡大事業 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kankeijinkou.html
- 兵庫県「島留学in洲本2026参加者募集開始のお知らせ」(2026年8月3日) https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk08/press/20260803.html
※(参考)関係人口創出プロジェクト「行き先は、わたし」の名称は、那須塩原市の発表(PR TIMES、2026年8月3日)による。


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