ふるさと住民登録制度とは──関係人口を“登録”でつなぐ、国の新しいしくみ

国や行政の施策

住所地以外の地域に継続的に関わる人を「ふるさと住民」として登録する、総務省の「ふるさと住民登録制度」。2026年度中の制度開始を目指して準備が進み、2026年7月には専用サイト「ふるさと住民登録制度ナビ」も公開されました。制度のしくみ、モデル事業に選ばれた自治体、そして自治体の側で用意するものを、総務省の一次情報から整理します。

ふるさと住民登録制度とは──関係人口を「見える」ようにするしくみ

総務省は、この制度を「住所地以外の地域に継続的に関わる方を『ふるさと住民』として登録し、関係人口を可視化するとともに、地域とのつながりを深めていただくための制度」と説明しています。総務省の概要資料では、ねらいを「関係人口の規模や地域との関係性を可視化し、地域の担い手確保や活性化につなげる」こととしています。

私たちは、地域との関わりを「登録」というかたちで数えられるようになる点に、この制度の新しさがあると考えています。制度ナビは、目指す姿を「単に『行く』だけでなく、いつでも『帰れる』場所を増やしていく」と表現しています。

登録は2段階──ベーシック登録とプレミアム登録

登録には2つの段階があります。登録に費用はかからず、どなたでも無料で利用できるとされています。

  • ベーシック登録:要件を設けず登録でき、登録できる自治体の数に上限はありません。本人確認は不要で、任意でマイナンバーカードによる本人確認を行うこともできます。
  • プレミアム登録:「年3回以上、自治体が指定する担い手活動を実施すること」が必須要件です。マイナンバーカードによる本人確認が必須で、登録できるのは3団体までです(都道府県は数に含めません)。

「担い手活動」について、総務省は「地域の担い手不足の解消や地域活性化につながる活動」とし、農業ボランティア、イベント企画運営、環境保全活動など、自治体が指定した活動が対象になると説明しています。

プレミアム登録者には、地域ごとに官民でサポート施策が用意されます。総務省の資料には、例として「交通・宿泊費補助、ワーキングスペース利用料補助」「公共施設等の住民並み利用、避難先としての受入」が挙げられています。

2026年度中の制度開始に向けたスケジュール

ここまでの動きを、総務省の公表資料から日付順に並べます。

  • 2026年1月26日:「ふるさと住民登録制度の創設について」を公表
  • 2026年3月27日:「ふるさと住民登録制度」ガイドライン【Ver.1.0】を公表。同日、モデル事業の対象自治体を決定
  • 2026年7月24日:専用サイト「ふるさと住民登録制度ナビ」を公開
  • 2026年8月19日:制度ナビに「よくある質問」のページを公開

今後について、総務省の概要資料には「R8.秋 システム利用申請受付開始」「R8年度内 制度開始(数週間程度、自治体の準備期間を設定)」と示されています。制度ナビの「よくある質問」でも、「現在、2026年度中の制度開始を目指して準備を進めています」とされています。

参加する自治体の費用について、総務省は「令和9年度までに参加する自治体については、一定期間システム利用料の負担を求めないこととしています」としています。

モデル事業──161団体の応募から、7道県と21市町村

2026年3月27日、総務省はモデル事業の対象自治体を決定しました。公募には161団体から応募があり、2つの型で選ばれています。

都道府県と市町村の連携モデル:7道県(域内応募市町村37団体)

北海道(16市町)、宮城県(3市町)、富山県(2市)、長野県(7市町村)、和歌山県(2市町)、鳥取県(4市町)、高知県(3市町村)

個別市町村モデル:21市町村

岩手県陸前高田市、福島県西会津町、福島県飯舘村、栃木県那須町、山梨県小菅村、岐阜県飛騨市、静岡県焼津市、愛知県豊橋市、兵庫県豊岡市、奈良県三宅町、島根県出雲市、岡山県真庭市、広島県三原市、山口県美祢市、徳島県鳴門市、香川県琴平町、愛媛県宇和島市、長崎県佐世保市、熊本県菊池市、熊本県天草市、鹿児島県南さつま市

制度ナビには「モデル事業進捗状況」のページがあり、2026年7月時点の検討状況の共有や、第1回全国説明会(宮城県開催)の資料が掲載されています。

自治体が用意するもの──担い手活動、サポート施策、コーディネーター

ガイドラインを読むと、登録の受け皿として自治体が用意するものが見えてきます。

担い手活動を指定する

ガイドラインは、担い手活動を指定する際の考え方として「①人口減少等を背景とした担い手不足への対応であること、②活動の内容や活動時間等に鑑み、公共性や地域への貢献が十分に認められるものであること」を示しています。私たちは、地域にすでにある農作業の手伝いや清掃、祭り・イベントの運営などを、登録者が参加できる活動として捉え直すところが出発点になると考えています。

サポート施策を用意する

サポート施策について、総務省は「プレミアム登録者の担い手活動への参加や地域での生活を支援するために、地域ごとの創意工夫により官民で様々なサポート施策を用意していきます」としています。あわせてガイドラインは、「ベーシック・プレミアム登録をしたこと自体に対する見返りとして、現地に行かなくても恩恵を受けられる物品を提供することは禁止します」としています。

二地域居住との接点も設けられています。プレミアム登録者のうち、一定要件(年間10日以上滞在を基本として自治体が設定)を満たす長期滞在者は、プレミアム登録証にその旨が明示されることになっています。

ふるさと住民コーディネーターを置く

ガイドラインは、システムで事務をできる限り簡易にしたうえで、なお必要となる事務について「ふるさと住民コーディネーター」の設置も考えられるとしています。想定業務として挙げられているのは、地域課題の把握、情報発信、プロジェクトの企画・運営、相談対応、登録申請等の確認、サポート施策関連業務の6つです。

登録の先にある「定着」を、あわせて考える

ベーシック登録からプレミアム登録へ、さらに長期滞在、二地域居住、移住へと、関わりの段階を同じ仕組みの上で追えるようになれば、関係人口の施策と移住・定着の施策を一本の線でつないで見ることができると考えます。

そのうえで、私たちが大切だと考えているのは、登録した人が「帰れる場所」だと感じ続けられるかどうかです。年3回以上の担い手活動に通う人が、何を感じ、どこでつまずき、次に何を望んでいるのか。登録の数とあわせて、登録した人の声を継続して聞いていくことが、関わりを移住や定着へとつないでいく手がかりになると考えています。関係人口と定着のつながりについては、移住だけじゃない──自治体が“関係人口”創出に動き出す 2026年夏でも整理しています。

出所

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