移住定着の施策は、実施して終わりではありません。「どれだけ相談が来たか」「何人が移住し、定着したか」を数字でとらえ、毎年ふり返って次の一手に活かす——そんな“数字で管理する(実態を把握する)”自治体が増えています。内閣府の優良事例集から、KPI(重要業績評価指標)を設定して効果検証を続けている2つの自治体を紹介します。
宮城県七ヶ宿町:「相談件数」「移住者数」に目標を設定
七ヶ宿町は、第2期のふるさと創生総合戦略に基づき、移住定着の主なKPIとして「移住に関する相談件数(令和6年度までに50件)」と「移住者数(令和6年度までに40人)」の数値目標を掲げています。
そのうえで、年1回、町長や上席者へKPIの実績を報告する会を開き、さらに有識者を交えた「ふるさと創生本部有識者会議」を年1回開催して、各施策の効果を検証しています。実績として、令和3年度の移住者数は43名(うち30名程度は子育て世代)で、移住者数の目標をすでに上回る効果を出されています。
青森県八戸市:就職者数・相談件数を数値目標化し、外部有識者が検証
八戸市は、第2期の総合戦略で「新しいひとの流れをつくる」を基本目標のひとつに掲げ、これを具体的な数値目標に落とし込んでいます。たとえば、市の無料職業紹介所などを通じたUIJターン就職者数(目標:累計100人・令和7年)や、圏域での移住相談件数(目標:510件・令和8年度)をKPIとして設定しています。
特徴的なのは、その検証体制です。実績をもとに、産業界・教育機関・金融機関などの外部有識者を交えて、毎年度、効果検証を行っています。目標を立てるだけでなく、数字を確認し、第三者の目で成果を確かめる仕組みを作り始めておられる点が参考になります。
2つの事例に共通する「数字で回すサイクル」
両者に共通するのは、次の3点です。
- 移住定着を「相談件数」「移住者数」「就職者数」など、具体的な数値目標(KPI)に落とし込んでいる
- 毎年、実績を確認し、外部の有識者を交えて効果を検証している
- 検証の結果を次の施策の見直しに使い、“やりっぱなし”にしていない
数値目標を掲げ、実績を検証し、改善につなげる——この一連のサイクル(PDCAサイクル)が、限られた予算と人員のなかで施策の精度を高めています。
ただし、ここには一つの前提があります。相談件数や移住者数といった“入口の数字”は比較的とらえやすい一方で、「移住した人が実際に定着しているか」「暮らしに満足しているか」という“その後”を継続的に測るのは簡単ではありません。目標を立てても、移住後の実態を測るデータがなければ、検証の精度は上がらないのです。
この「定着をどう見える化するか」という論点については、次回の記事で詳しくお伝えします。
出所:内閣府 地方創生推進室「令和4年度 移住・定住施策 優良事例集(第2弾)」 https://www.chisou.go.jp/sousei/pdf/ijyu-jirei-2.pdf


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