名古屋の隣で、しずかに人が増えている──岐阜・美濃加茂市の“ミディアム・スロー”な移住

自治体の取り組み事例

“ふつうの中小都市”のなかに、しずかに人を増やしている「まち」があります。人口約5.7万の岐阜県美濃加茂市。総務省の2025年結果では、転入が転出を239人上回る転入超過でした。大都市のベッドタウンではなく、自分の生活圏をもつ自立した中小都市。そんな「まち」が、どのように人を引き寄せているのか、見てみたいと思います。

データが示す「静かな伸び」

美濃加茂市は、総務省の住民基本台帳人口移動報告(2025年結果)で239人の転入超過を記録しました。派手な数字ではありませんが、人口3〜7万規模で、かつ大都市の郊外ではない“自立した中小都市”がプラスを出すのは、簡単なことではありません。まちの立ち位置と、暮らしの受け止め方に理由がありそうです。

「都会の隣まち」という立ち位置

美濃加茂市は名古屋から約40分、東海環状自動車道のICもある交通の要衝です。都市の利便性が届きながら、木曽川や里山の自然、中山道太田宿の歴史が引き継がれている——市はこれを「みのかも時間(ミディアム・スロー)」という、移住・定住や市の魅力を伝えるコンセプトとして発信しています。移住・定着情報サイト「みのかも時間」では、空き家バンクや移住者の声、各種支援情報がまとまっており、“考え始めた人”がイメージを描きやすい入口になっています。

暮らしを“住民ごと”受け止める

美濃加茂市の特徴は、行政が呼ぶだけでなく、地域が受け止める土台をつくっているところです。市内では「まちづくり協議会」が地区ごとに立ち上がり、「住み続けたい、住んでよかったと言えるまちに」を合言葉に、住民主体のまちづくりが進んでいるようです。千年後も変わらない風景を残す「里山千年構想」もそのひとつ。移り住んだ人が“よそ者”のままにならない仕組みは、定着に直結します。

これからの“地域の未来”の描き方

美濃加茂市が示すのは、人口5万人前後の自立した中小都市でも、移住で人を増やせるということです。ただし、転入超過という“入口の数字”を定着に変えるには、移り住んだあとに声を拾い、暮らしを支える伴走が要ります。呼び込む力と、根づかせる力は両輪です。移住後のフォローを自治体だけで抱え込まず、外部の専門的な支えと組むことも、その両輪を回す現実的な選択肢になります。

美濃加茂市について

岐阜県の中南部、名古屋から約1時間に位置する中山道の宿場町。木曽川と里山に囲まれた、人口約5.7万人のあったかい人と自然のある「まち」です。

出所
  • 総務省 住民基本台帳人口移動報告 2025年結果(市区町村別・転入超過)
  • 令和2年国勢調査(人口)
  • 美濃加茂市 移住・定住情報サイト「みのかも時間」 https://minokamojikan.jp/
  • 美濃加茂市(まちづくり課/まちづくり協議会) https://www.city.minokamo.lg.jp/soshiki/2/1037.html
  • (参考)都市雇用圏の分類:CSIS(東京大学空間情報科学研究センター)都市雇用圏データ

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