“ふつうの中小都市”のなかに、しずかに人を増やしている「まち」があります。人口約4.9万の石川県能美市。総務省の2025年結果では、転入が転出を230人上回る転入超過でした。大都市のベッドタウンではなく、自分の生活圏をもつ自立した中小都市。そんな「まち」が、どのように人を引き寄せているのか、見てみたいと思います。
データが示す「静かな伸び」
能美市は、総務省の住民基本台帳人口移動報告(2025年結果)で230人の転入超過を記録しました。人口約5万人で、かつ大都市の郊外ではない“自立した中小都市”が転入増加するのは、簡単なことではないと思います。この能美市という「まち」の立ち位置と、暮らしの受け止め方に理由がありそうです。
海・山と都市が、同じ距離にある
能美市は石川県の南部に位置し、海や山が近い自然豊かな環境がありながら、金沢市の中心部まで車で約35分。小松空港も近く、都市とのアクセスは良好です。市の移住サイト「のみ移住」は、この“ちょうどよさ”を前面に出され、土地価格の手頃さから戸建てを持つことも実現可能なようです。とくに子育て世代に向けて、支援制度・保育園や学校の教育環境・動物園や公園といった暮らしを豊かにしてくれる具体的な内容を具体的に伝えられていて、「わが家の場合はどうなるか」という理想を現実として描きやすい環境で、移住という入口の整備をしているようです。
“来てから”を支える仕組みの厚み
能美市の特徴は、支援メニューの層の厚さです。住まいの助成だけでも、定住促進補助金、空き家改修費等補助金、U・I・Jターン就職家賃補助金、結婚新生活支援事業補助金などが並びます。移住支援金は、石川県と県内全市町の共同事業として、世帯100万円(18歳未満の子1人につき100万円加算)・単身60万円。さらに、市外の人が実際の暮らしを体験できる短期移住体験や、移住相談の窓口も用意されています。“来る前”に試し、“来てから”暮らしを組み立てるところまで、線でつながっている設計です。
これからの“地域の未来”の描き方
能美市が示すのは、人口5万人前後の自立した中小都市でも、住む人を増やせるということです。ただし、転入超過という“入口の数字”を定着に変えるには、移り住んだあとに声を拾い、暮らしを支える伴走が要ります。呼び込む力と、根づかせる力は両輪です。移住後のフォローを自治体だけで抱え込まず、外部の専門的な支えと組むことも、その両輪を回す現実的な選択肢です。
石川県南部に位置し、海と山に囲まれた人口約4.9万人のまち。金沢市中心部まで車で約35分、九谷焼の産地としても知られています。
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 2025年結果(市区町村別・転入超過)
- 令和2年国勢調査(人口)
- 能美市「移住定住をお考えの方へ」 https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/genre/1668388019285/index.html
- 能美市「住まいに関する助成制度」 https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/contents/1560995264749/index.html
- 能美市「能美市移住支援金制度」 https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/contents/1587530832091/index.html
- 能美市 移住サイト「のみ移住」 https://nomi-iju.org/
- (参考)都市雇用圏の分類:CSIS(東京大学空間情報科学研究センター)都市雇用圏データ


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