地方移住への関心は、年々増加し過去最高の水準になったようです。ふるさと回帰・移住交流推進機構の調査では、2025年の移住相談件数は7万3003件で、前年から18.3%増加、5年連続で過去最多を更新しました。多くの自治体が移住フェアや支援金など“来てもらう”ための施策に大変な努力をされた結果だと思います。注1
一方で、移住支援の現場では「来てもらったあと」に課題が残りがちです。移住施策の多くは、相談対応・物件紹介・移住支援金といった“選んでもらうこと”、そして“移住するまで”に多くの力がかけられているのが実態ではないでしょうか? 移住者が本当に「ここに住み続けよう」と思えるかどうかは、引っ越したあと(移住後)の数か月から数年で決まります。実際、支援金を主な動機とした移住は定着率が低く、支援金による受入だけでは限界があるという指摘もあります。受入に成功しても、その先を支えられなければ、せっかくの移住者が再び転出してしまいます。注2
特に見落とされやすいのが、移住直後の“空白期間”です。歓迎ムードが一段落したあと、移住者は新しい人間関係・仕事・生活習慣に向き合うことになります。“移住まではお客様、移住後は地域の一員”。この時期に、
- 相談できる相手が地域にいない
- 事前に描いたイメージと、実際の暮らしとのギャップ
- 地域の集まりや慣習になじめない
といった小さなズレが積み重なると、不安や孤立につながる場合があります。担当者の方も目が届きにくい時期でもあり、困りごとが表面化したときには、すでに転出を決められている。
この“空白期間”を埋める鍵は、移住後に“定期的に声を聞く仕組み”を持つことです。年に数回でも、移住者一人ひとりに、生活環境や仕事などといった観点から定住意向をうかがうことができれば、満足度の変化や離脱の兆しを早い段階で捉えられます。「困っていませんか? 最近はいかがですか?」と声をかけられること自体が、移住者にとっての安心にもつながります。
移住施策は、“来てもらう”段階も大切ですが、“住み続けてもらう”段階も大切だと感じます。また、定住や定着意識は、感覚ではなく、具体的な指標で見える化してこそ、次の一手が打てます。移住者の声に耳を傾け続けることが、地域に人が根づく最初の一歩だと思うのです。
注1:移住相談件数73,003件・前年比18.3%増・5年連続過去最多/ふるさと回帰・移住交流推進機構(2026年2月発表) https://www.furusatokaiki.net/topics/press_release/p54118/
注2:支援金頼みの誘致の限界・定着率の低さ/自治体DX推進協議会「自治体における移住・定住施策の現状と課題」 https://www.gdx.or.jp/service/iju.html

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